輸出減も国内出荷が堅調推移
熱可塑性ポリウレタンエラストマー「TPU」は、力学的性能、耐摩耗性、弾性回復性、耐油性、屈曲性等の諸特性に優れていることからゴムやプラスチックの代替材料として使用されている。一般に原料としてポリオール、ジイソシアネートおよび鎖延長剤としての低分子ジオールを用いて製造され、ジイソシアネートと低分子ジオールとから形成されるハードセグメントと、ポリオールとジイソシアネート単位とから形成されるソフトセグメントという2つのセグメントにより高強度で柔軟なエラストマーの性能を付与している。
射出成形、押出成形、カレンダー成形、パウダースラッシュ成形など通常のプラスチック成形加工法が適用でき、リサイクルが可能、低VOC、ノンハロゲン等の特長を備え、環境対応製品としても注目を集めている。
このためスポーツ用品や自動車部品、ホース・チューブ、ベルト、フィルム、電線ケーブル、医療用など広範な用途で採用が進んでいる。
TPUの販売出荷数量は、ディーアイシー コベストロ ポリマー、東ソー(日本ポリウレタン工業)、BASFジャパン、大日精化の4社で構成されるTPU工業会によると、2015年の熱可塑性ポリウレタン出荷実績は国内出荷が前期比106・8%、1万7287tと堅調に推移したことで、総出荷は同102・3%、1万8967tとリーマンショック時の出荷量を上回る伸びを見せた。
これまでTPU出荷を牽引してきた輸出が自動車用部品を中心とした中国での現地生産が拡大したこともあり、2015年では3割減の落ち込みとなった。国内出荷は物流拠点での整備拡充に伴うベルト需要を中心に食品向けのチューブ・ホース類、フィルム分野で総じて需要が拡大した。