十川ゴムは6月1日より汎用天然ゴムシート(厚物のみ)の製品価格を15~20%程度値上げすると4月1日発表した。
同社の2016年3月期のゴム板販売状況は、上期は前年対比で113%と増収予想、下期は前年対比横ばいという状況の中、通期では前年対比約6%増収と予測している。中でも自動車関連用途が前年対比112%、一般工業用途が107・5%などの牽引が伸びの理由となっている。ただし、利益面では原材料価格が比較的安定しているにもかかわらず、運搬費の増加や厚みによる製造設備の違いにより非効率的な製造にならざるを得ず、厚物に関しては相当厳しい状況となっているため、値上げを実施する。
こうした中で、同社としては汎用シートについては、販売量、販売総額、利益に関しても限界があると考え、製品の差別化に注力。環境対応に関しても積極的に取り組み、ゴムシートカタログに掲載している全製品については既に改正RoHS指令(RoHS2)・REACH規制対応製品として製造している。また改正RoHS指令(RoHS2)は分析データによるエビデンスも順次準備を進めており、同社ホームページからのダウンロードサービスも行っている。
その製品の特性値を利用したものでは放射線遮蔽シートも上市しており、通常の一般硬さゴムシートと同じ柔軟性を持ちながらX線やガンマ線透過量を一定割合低減するほか、素材が鉛フリー・ハロゲンフリーのため、環境にやさしく、RoHS指令対象物質不使用。遮蔽効果については、東京都立産業技術研究センターにて実測データを取得しているほか、2014年8月には福島県南相馬市小高地区金谷付近(福島原発から約15キロ地区)での実証試験を実施。使用、不使用時の差異測定などでも非常に高い効果が証明されている。屋外使用を想定してベース素材には耐候性に優れるエチレン・プロピレンゴムを主体とした配合をしており、屋内使用の場合も配慮して防炎面では日本防災協会認定品としての確認も行っている。
その他、同社は低発煙難燃性ゴムシート、熱膨張ゴムシート、低硬度シリコーンシートなど、機能重視製品の開発に今後も積極的取り組んで行く方針。
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