三菱エンジニアリングプラスチックスは4月15日、世界初の原着化技術による高意匠性ポリカーボネート樹脂を開発したと発表した。特殊な染顔料と独自の配合技術を駆使し、ポリカーボネート樹脂の特性を生かしたまま高意匠性を付与した。
一般的なポリカーボネート樹脂は優れた透明性と高い衝撃性をいかし、さまざまな着色用途に用いられている。しかし、特殊な金属調や偏光調色を施すと、加工温度の高さもあり、成形性や衝撃性の低下が発生しやすく、塗装を施すかピアノブラック原着が一般的だった。
この課題に対し、特殊な染顔料をポリカーボネート樹脂と、独自の配合技術でコンパウンドすることにより、ポリカーボネート樹脂の優れた光学特性・衝撃性・成形加工性」維持したまま、より高い意匠性を発現させ、さまざまなポリカーボネート樹脂への調色が可能となった。
今回開発品としてラインナップしたのは、金属調(金、銀、銅)、偏光パール、偏光メタリック、蓄光、透明蛍光青、光輝材の併用(蓄光、透明蛍光青、メタリックの併用品)の6つの意匠。
いずれも優れた意匠性を有し、アミューズメント、自動車、電機電子分野の筐体部品や、シート、フィルム分野の外観を格段に高めることが可能で、現在塗装を必要としているアミューズメント、自動車内装、ABS樹脂塗装部品の代替に最適となっている。
金属調(金、銀、銅)、偏光パールはウエルド模様などの発生があり、金型設計などに注意が必要だが、金属調は塗装並みのいろいろな外観を表現でき、偏光やラメを加えることにより、より一層の高級感や派手な演出ができるようになった。変更パールは角度によって色調が大幅に変化するので、多面体や曲面形状での使用が効果的。また偏光性と光輝性の高さにより、指紋付着や擦り傷が目立ちにくくなる。
偏光メタリックはピアノブラックやヒート&クール成形との併用により、ウエルド模様の発生が目立ちにくくなり、ピアノブラック以上の高級感や形状演出ができるようになった。蓄光は紫外線や可視光線を吸収して持続的に発光する。従来よく使われていた緑色の蓄光に加え、青緑や青色の蓄光をラインナップ、また更なる調色を加えることにより、より幅広い演出ができるようになっている。防災部品に使いやすくなった他、一般意匠部品への展開も期待できる。
透明蛍光青は紫外線によってエッジ部分が青色に発光。シボや形状を工夫することにより、文字の浮き出しや光の演出が期待できる。
光輝材の併用は、蓄光・透明蛍光青・メタリックの併用により多彩な光演出を得ることが可能。
その他、ヒート&クール成形による微細なシボ模様や触感性との相性がよく、また2色成形による一層の意匠性向上も期待できるので、塗装ではできなかった表面演出が可能となる。
同社は今後、さらに顧客の要望に答え、より一層美麗な高意匠の開発を進めていく方針だ。