東海カーボンの16年1~3月期 カー黒事業は減収増益

2016年05月11日

ゴムタイムス社

 東海カーボンの16年12月期第1四半期連結決算は、売上高は226億4300万円で前年同期比18.1%減、営業利益は5億5700万円で同47.5%減、経常利益は5億2600万円で同49.6%減、四半期純利益は3600万円で同92.5%減となった。

 カーボンブラック事業部門は、国内ではタイヤ生産量は16年見通しは前年をやや上回る見込みであるものの回復までに至らず、前年同期を下回って推移したため、カーボンブラック需要も低調だった。また、国内外市場への安価な中国製品の流入は続いており、主要市場のタイを中心に販売数量への影響を受けた。

 一昨年から続く原料油の価格下落に伴う価格改定を行った影響により、売上高は減少したが、マージン改善等の実施により、営業利益は大幅に改善した。この結果、カーボンブラック事業部門の連結売上高は94億8700万円で同27.3%減、営業利益は11億1700万円で同188.0%増となった。

 黒鉛電極事業部門は、粗鋼生産は国内外ともに前年同期比マイナスで推移した。中国の鋼材輸出量は前年比で減少傾向にあるが、中国鉄鋼業界の構造調整は始まったばかりであり、輸出量は依然として高水準で推移しているため、世界全体の鉄鋼需給を改善するまでには至っていない。また、対面業界の国内電炉鋼生産も、前年同期比マイナスとなった。国内外で厳しい環境が続く中、黒鉛電極の需給不均衡による数量・売価の下落は継続している。さらに、為替の円高傾向等の影響も受けたことから、同事業部門の売上高は55億2200万円で同21.3%減、営業利益は1億7800万円で同70.7%減となった。

 ファインカーボン事業部門は、需要は回復傾向にあるものの、需給不均衡等により売価低下が進んだことに伴い、売上高は弱含みで推移した。ファインカーボン業界は特殊炭素用黒鉛材の供給が需要を上回る構造不況を背景に市場価格は下落している。同社は販売量を確保したものの、主にアジア市場での価格対応を余儀なくされた。この結果、当事業部門の売上高は34億3500百万円で同6.1%減、営業損失は一部取引先の業績悪化に伴う貸倒引当金繰入額を計上したことなどにより、8億400万円(前年同期は300万円の営業損失)となった。

 工業炉及び関連製品事業部門では、主要な需要先である情報技術関連業界では、一部において前年同期並に推移したものの、全体的には低調に推移したため、主力製品である工業炉の売上高は前年同期比減となった。発熱体その他製品の売上高は、中国市場の需要が低調に推移したが、一部主要電子部品業界が堅調に推移したため、前年同期比増となった。以上により、当事業部門の売上高は12億4000万円で同3.0%減となり、営業利益は1億5100万円で同23.8%減となった。

 その他事業部門の摩擦材では、主要顧客である建設機械向け需要と、ロボットを中心とした産業機械向け需要は、中国市況の減速により減少した。また、商用車向け需要も、インドネシア市況の悪化により減少した。一方、二輪車向け需要は、欧州車の好調な販売に支えられて伸長した。この結果、摩擦材の売上高は19億2500万円と同8.3%減となった。 不動産賃貸等その他の売上高は、リチウムイオン二次電池用負極材の販売数量が増加したことにより10億3100万円で同87.2%増となった。これらにより、その他事業部門の売上高は29億5700万円で同11.6%増となり、営業利益は1億5100万円で同6.9%増となった。

 通期の業績予想については、売上高は960億円で前期比8・5%減、営業利益が14億円で同65・8%減、経常利益が21億円で同51・4%減、親会社株式に帰属する純利益が14億円で同43・7%減と、2月9日に発表した予想に変更はない。

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