宇部興産の16年3月期 原燃料コスト改善、営業益7割増加

2016年05月12日

ゴムタイムス社

 宇部興産は5月11日、東京・茅場町の鉄鋼会館で決算説明会を開催し、藤井正幸グループCFOが2016年3月期連結決算の説明を行った。

 売上高は6417億5000万円で横ばい、営業利益は414億800万円で前期比71・5%増、経常利益は396億2000万円で同70・6%増、親会社株主に帰属する当期純利益は191億1100万円で同30・5%増となった。

 石炭・原油など原燃料の価格低下などの下支えもあり、建設資材など非化学部門は概ね順調に進捗し、化学部門でも一定程度の回復を果たした。ただし、収益性の低迷が続いているポリイミド事業と中国の電解液事業については減損損失が発生し、特別損失に計上している。

 化学セグメントは、ナイロン樹脂は食品包装フィルム用途を中心に概ね堅調。ナイロン原料カプロラクタムは、アンモニアなど副原料の価格低下が寄与したが、中国市場を中心とした供給過多の状況が継続し、市況は低迷した。

 アンモニア製品は、国内工場の定期修理を隔年実施に移行できたこともあり、出荷が堅調に推移。ポリブタジエンはエコタイヤ用途を中心に、出荷は概ね堅調だった。

 リチウムイオン電池材料の電解液はパソコンなど民生用途で、セパレータはエコカーなど車載用途でともに出荷が伸びたが、価格下落の影響を受けた。

 ファインケミカル製品とポリイミドフィルムの出荷は概ね堅調だったが、収益面ではポリイミドフィルムは低調だった。

 この結果、同セグメントの売上高は2667億3600万円で、前期比4・8%減、営業利益は120億8300万円(前期は9億3900万円の損失)となった。

 医薬セグメントでは、自社医薬品の血圧降下剤、抗アレルギー剤、抗血小板剤ともに流通在庫の調整が続いており、原体の出荷は低調だったが、受託医薬品の原体・中間体の販売数量は増加した。

 この結果、同セグメントの売上高は92億8000万円で同18・7%増、営業利益は11億500万円で同22・5%増となった。

 建設資材セグメントについては、セメント・生コン製品は国内需要の減少に伴い、出荷は前期をやや下回ったが、電力・石炭などエネルギーコストの改善もあり、全体としては堅調に推移した。

 カルシア・マグネシア製品は、耐火物向けを中心に出荷は概ね堅調。燃料価格低下も寄与した。

 この結果、同セグメントの売上高は2373億4300万円で同6・7%増、営業利益は198億4100万円で同16・5%増となった。

 機械・金属成形セグメントは、竪型ミルや運搬機など産業機械の出荷が、国内向けは堅調だったものの、東南アジアなどの新興国向けが減少した。

 自動車産業向けを中心とする成形機の出荷は、国内・北米向けは堅調だったが、中国・東南アジア向けは減少した。

 各製品のサービス事業は伸び、製鋼品の出荷も堅調だった。

 この結果、同セグメントの売上高は734億3500万円で同7・0%減、営業利益は46億円で同6・9%増となった。

 エネルギー・環境セグメントについては、石炭事業はコールセンター経由での販売炭と預り炭の取扱い数量がともに堅調。

 電力事業は、IPP発電所の復旧に伴い売電量が増加した。

 この結果、同セグメントの売上高は690億6600万円で同3・4%増、営業利益は38億5600万円で同35・8%増となった。

 その他セグメントの売上高は187億9200万円で同3・4%減、営業利益は11億4200万円で同0・3%減となった。

 2017年3月期の連結業績予想については、売上高が6550億円で同2・1%増、営業利益は350億円で同15・5%減、経常利益は330億円で同16・7%減、親会社株主に帰属する当期純利益は200億円で同4・7%増を見込んでいる。

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