本紙がまとめたゴム関連企業28社の2015年度海外売上高比率によると、前年度の比率を上回った企業は22社に上った。また、海外比率が5割を超えた企業は、半数を越す15社に上った。需要が頭打ち傾向にある国内市場に比べ、北米を中心とした海外市場が好調だった他、円安の継続が影響したものと見られる。
タイヤメーカーは4社とも前年実績を上回った。ブリヂストンの海外売上高比率はすでに8割を超えており、ゴム企業28社の中で最も高い水準になっている。
ブリヂストンの海外売上高のうち、地域別で最も多いのは米州の48・8%。中でも米国は40・7%と、4割を超えている。15年度の北米タイヤ事業は、乗用車と小型トラック用が堅調に推移し、トラック・バス用も前年を上回ったことで、前年度(米州47・5%、米国37・3%)に比べ、さらに比率を高めた。
他の3社も積極的に海外展開を続けており、海外比率は住友ゴム工業が3・6ポイントの増加。横浜ゴムは5割を超え、北米に強い東洋ゴム工業は7割近くまで上昇させている。
ベルトメーカーの中で海外比率が最も高いのは、バンドー化学の48・5%。ただ、中国、アジアの主要顧客の生産減などにより、海外生産高比率はわずかに減少した。海外で一般産業用ベルトが好調だった三ツ星ベルトは、海外比率を1・5ポイント伸ばした。
自動車部品メーカーは7社のうち6社の海外比率が伸長した。NOKは14年度の68・8%から71・6%に伸びた。主力のシール事業において北米での需要が増加し、中国の景気減速による影響をカバーして、海外比率を7割まで押し上げた。
最も伸びが大きかったのは鬼怒川ゴム工業で、14年度の43・8%から51・3%へ7・5ポイント向上した。メキシコでの売上拡大や、中国での主要得意先による自動車生産の増加から、海外比率を5割以上に伸ばした。
工業用品その他で最も伸びたのはオカモトで、6・6ポイントの増加。北米でフィルム事業が伸びた他、避妊具の積極的な海外展開などにより、海外比率が伸長した。
履物では、アシックス、アキレスとも海外比率は微減となった。
合成ゴムでは、日本ゼオン、JSRともに前年度から2ポイントほど伸長した。
JSRは、エラストマー事業が国内タイヤの需要低迷、アジア市場の成長減速で販売数量減となった。合成樹脂事業では、北米・中国・欧州で自動車生産増となり販売数量を伸ばしたものの、市況軟化により売上高は前年を下回った。
日本ゼオンは、合成ゴム関連で拡販活動が進んだことにより海外向け販売数量を伸ばしたが、こちらも市況悪化等の影響を受けて全体の売上高は前年を下回った。その結果、両社とも海外売上高全体の比率が上昇した。