豊田合成は7月7日、青色LEDの主要材料であり、高い電圧にも耐えられるなどの優れた物理特性を有する窒化ガリウム(GaN)を用いて、20Aを超える大電流動作が可能な、1・2kV級パワー半導体デバイスチップを世界で初めて開発したと発表した。
大電力を扱うハイブリッド車などの電力制御装置や、太陽光発電などの電力変換装置の回路に適用することで、機器の小型化・高効率化に大きく貢献することが期待できる。
同社は、1986年から行っている青色LEDの開発・生産で培った結晶成長技術を活用して、2010年からGaNを用いたパワー半導体向けデバイス技術の研究開発に着手。これまでにGaN基板上に耐圧1・2kV級の低損失MOSFETを作製し動作実証を行ってきた。
今回、素子を並列動作させる配線技術を確立し、1・5mm角のチップサイズで縦型GaNトランジスタとして世界で初めて20Aを超える電流を流すことに成功した。
今後は電流容量のさらなる増大、信頼性の評価などに取り組み、半導体や電機メーカーなどと協業し18~20年頃の実用化を目指し、開発を進める。
なお、同技術は今年6月に開催された、パワー半導体に関する世界最大の国際会議であるISPSDのレートニュースで採択・発表されている。