横浜ゴムが今シーズンに投入したSUV用スタッドレスタイヤ「iceGUARD SUV G075」は、「SUVに、飛躍の氷上性能を」をテーマに、SUVユーザーからニーズが最も高い氷上性能の向上に主眼を置いて開発された。
さらに、氷上性能の他に関心の高い性能永持ちと省燃費に加え、近年人気の都市型SUVに対応するため、静粛性も追求した。
開発にあたっては「アイスガード」の基本コンセプトである「氷に効く」「永く効く」「燃費に効く」を投入し、「アイスガード」の最新技術を惜しみなく搭載した。
横浜ゴムは今年2月に北海道・旭川市のテストコース「北海道タイヤテストセンター」で新製品の試乗会を実施した。
試乗会前に行われた製品説明会では、開発背景や技術解説が行われた。
まず開発の背景として、同社が実施した調査で、ユーザーがスタッドレスタイヤに求める性能は氷上ブレーキ性能が多いことがわかった。さらに向上して欲しい性能としては効き長持ちと燃費性能を求めるユーザーが多い事もわかった。氷上性能の中で具体的に向上させたい性能としては、ブレーキ性能を求めるユーザーが9割を占めたという。
こうした声に応え、「iceGUARD SUV G075」は、雪上性能と摩耗ライフを高レベルで保ちつつ、氷上ブレーキ性能を飛躍的に高め、効き長持ちと燃費性能の向上をテーマに開発されたと説明した。
また、従来の「ジオランダ―」から「アイスガード」へブランド変更された理由としては「都市型SUV、CUVの台頭に伴い、SUVスタッドレス全体需要に占める中・小型車両のタイヤ需要は2011年比で約7%増加している」(消費財製品企画部 製品企画2Gの三浦聡司グループリーダー)と背景を説明した上で、「SUVタイヤのカテゴリーでは、ジオランダ―ブランドの知名度は高いが、都市型SUVなど乗用車に近い車両を使用しているユーザーには、アイスガードの方がより信頼性の高いブランドとして認知されているため」と説明した。
搭載技術説明では、材料については網野研究室の網野直也所長が、設計についてはタイヤ設計部設計2Gの橋本佳昌グループリーダーがそれぞれ説明した。
氷上性能では「アイスガード」の最新コンパウンド技術「スーパー吸水ゴム」と「iceGUARD」のパターン技術を取り入れた専用トレッドパターンを採用した。「スーパー吸水ゴム」がスリップの原因となる水膜を吸水し、さらにトレッドパターンとの相乗効果で高い接地性とエッジ効果を発揮。これにより、氷上制動性能を従来品に比べ23%向上した。
効き永持ち性能では、「スーパー吸水ゴム」に配合した「ブラックポリマーⅡ」と「エボ吸水ホワイトゲル」が低温時でもゴムの柔らかさを維持し、長期間にわたって高レベルの氷上性能を持続する。
燃費性能では、低燃費タイヤブランド「ブルーアース」の技術を応用した「低発熱トレッドゴム」を採用。発熱によるエネルギーロスを抑え、転がり抵抗を5%低減した。さらに横浜ゴム独自のシミュレーション技術により溝配置を適正化することでパターンノイズを28%低減するなど静粛性を高めた。
試乗会で性能を体感
試乗会では、新製品を装着して、雪上ハンドリング試験路をはじめとする評価路面を走行した。
左右にコーナーがある雪上スラロームコースでは、最初に従来品装着車で、次に新製品装着車でそれぞれ3周し、性能の違いを体感した。
新製品は従来品と比較して、挙動も安定しており、コーナリングでの接地感が高いと感じた。
従来品は時速40キロでコーナリングすると滑り出してしまうが、新製品は時速60キロ走行時でも安定しており、狙った通りにハンドリングすることができた。
ブレーキングでも、ブレーキを踏むたびにしっかりと減速感が伝わってくるだけでなく、前のめりになるほどしっかりと止まった。
出だしの加速感も高いため、自然とスピードもでてしまう。
氷盤試験路では、時速30キロでブレーキを踏み、どの程度の距離で停止するかを体感した。従来品ではブレーキ開始から45m先で止まったが、新製品は40m手前で止まった。新製品はブレーキがすぐに効き、滑りながらも安定した走行ができた。
23%向上した氷上制動性能を十分に体感することができた。