日本グッドイヤーは7月26日、東京・赤坂のベクトルスタジオにおいて報道関係者向けに「新戦略発表会」を開催した。
当日は、金原雄次郎代表取締役社長らが出席し、昨年10月に発足した新体制以降の振り返りや16年度上半期の活動について説明した。さらに、下半期の注力商品として、8月1日より全国一斉発売となる日本市場向けオールシーズンタイヤ「ベクター4シーズンズハイブリッド」について、性能や特徴を詳しく紹介した。
金原社長はまず、昨年10月に米グッドイヤーの100%子会社として新体制が発足して以降、顧客との信頼関係の維持をはじめ、社内体制の整備および社員の意識改革に努めてきたと語り、「社内のすべての領域で仕事の進め方を洗い直した上で、グッドイヤーのグローバル基準をベースをとし、日本の良いやり方は生かすという視点で取り組んだ結果、現在は新たな成長戦略の実行フェーズに入った」と宣言した。
続いて、16年度の活動報告と実績について述べた。金原社長は、最初にJATMA(日本自動車タイヤ協会)が先ごろ発表した、16年タイヤ国内需要年央見直しを紹介し、上半期の実績が新車用・市販用ともに前年割れとなったことに触れつつ、同社の16年度上半期の実績が「ほぼ業界動向並みの実績を確保した」ことを明らかにした。
その背景には、暖冬による履き替え需要の減少、車検需要の低迷、新車販売の苦戦、競合タイヤメーカー各社の攻勢の強まりとなどの要因があったと語った。ただし、「直近1~2ヵ月については復調の兆しが見えており、下期以降の活動でさらに弾みをつけていきたい」(金原社長)として、年間では最低でも業界需要を上回る実績を確保し、プラスの成長を維持する計画であると語った。
なお、同社は今年上期に、JATMAに準会員として加入している。タイヤ使用における安全・啓蒙広報活動や事故防止・安全推進への取組みなどの活動を通じ、「自社の利益追求の枠を超えて、業界発展のために微力ながら貢献していきたい」(金原社長)としている。
続いて、同社が下半期に業界各社の成長を上回る柱として期待する「ベクター4シーズンズハイブリッド」を紹介した。
米グッドイヤーは1977年、世界初のオールシーズンタイヤ「ティエンポ」を発売。それ以来、同グループは30年以上にわたり、オールシーズンタイヤのマーケットを切り開いてきた。同社には、その実績をテコに、日本にオールシーズンタイヤという新しいカテゴリーを開拓・定着させたいという狙いがある。
同社は、従来から欧州で生産した「ベクター4シーズンズ」を輸入販売してきた。今回は従来の23サイズから44サイズへ、対応サイズを大幅に拡大。軽自動車、コンパクトカー対応の13インチから、大型セダン・ミニバン対応の18インチまでサイズを網羅する。
従来品は欧州グッドイヤーからの輸入品だったが、性能はそのままに「デリバリー性」を確保するため、同タイヤは住友ゴム工業との供給契約の第1弾として国内で初生産される。欧州で培った基礎技術と国産の品質をかけ合わせたという意味から、「ハイブリッド」の名を入れたとのことだ。
また、同タイヤは、チェーン規制時でも走行可能な性能を備えており、日本での冬用タイヤの証である「SNOWマーク」を追加刻印している。
金原社長は同タイヤについて「お得で便利で楽で安全・安心というお客様の潜在ニーズを汲み取り、商品化した」語った上で、「タイヤの分野から、一年を通して履き替えずに走れるという新しい車の使い方を提案したい」と抱負を述べた。
続いて登壇した松崎洋明技術本部長が、雪上やウェット路面での高い排水性とドライ路面での走行安定性をもたらす「Ⅴシェイプドトレッド」や、あらゆる路面に密着してグリップする「3Dワッフルブレード」など、同タイヤに搭載されている最新テクノロジーについて説明した。
また、サイズラインナップを44サイズに拡大したことにより、13年に新車販売して16年に最初の車検を迎える車種のうち、約80%をカバーすることができると解説した。
最後に登壇した有田俊介マーケティング本部長は、今後のPR戦略について説明し、「グッドイヤー」ブランドの認知度向上を図るため、「見える化」プロジェクトを始動すると語った。さらに、10月に開催予定のプレス向け試乗会(於:富士スピードウェイ)について、詳細を説明した。
発表の後に行われた質疑応答の席で、金原社長は同タイヤの販売目標について問われ、「従来品の販売規模の『1ケタ上』を目指したい」と、期待をにじませた。