東海カーボンの1~6月期 需要低迷・円高で赤字に

2016年08月02日

ゴムタイムス社

 東海カーボンの2016年12月期第2四半期連結決算は、448億7200万円で売上高が前年同期比16・9%減、営業損失は8000万円(前年同期は15億6900万円の営業利益)、経常損失は2億3500万円(前年同期は19億1700万円の経常利益)、四半期純損失は59億円(前年同期は4億9700万円の四半期純利益)となった。

 日本では、対面業界であるタイヤ業界、自動車業界とも生産が前年同期を下回って推移し、カーボンブラック需要もこれに沿い低調に推移した。また、日本を含む東南アジア市場への安価な中国製品の流入も続いており、同社の主要拠点のひとつであるタイを中心に需要及び価格面で影響を受けた。

 この結果、カーボンブラック事業部門の売上高は、一昨年から続くカーボンブラック原料油の価格下落に伴い価格改定を行った影響などもあり、182億9700万円で同26・9%減となった。一方、営業利益は、海外子会社の収益改善やコストダウンの実施などにより前年同期比大幅増の18億9200万円となった。

 今年1~5月の世界粗鋼生産は前年同期比2・2%減、国内粗鋼生産は同2・0%減となり、国内外ともに昨年来のマイナス成長が継続した。新興国経済の減速等を受けて鉄鋼需要が低迷する中、依然として中国は年間1億t超のペースで鋼材輸出を続けており、世界全体の鉄鋼需給不均衡が継続し、当社対面業界である電炉鋼生産も国内外で低迷した。

 このような状況の中、黒鉛電極の需給不均衡も継続し、市況悪化による販売価格の下落に加え円高が進行したため売上高は大幅に減少した。結果、黒鉛電極事業部門の売上高は、108億3300万円で同19・5%減、営業損失は、3億7000万円(前年同期は11億3400万円の営業利益)となった。

 特殊炭素用黒鉛材の需要は緩やかな回復基調にあるものの、依然として供給が需要を上回る構造不況は継続した。一定の販売量を確保したが、特にアジア市場での価格対応を余儀なくされたほか、円高進行の影響を受けた。

 これにより、ファインカーボン事業部門の売上高は67億7000万円で同10・3%減となり、長期に販売が見込めない在庫の評価損の計上や、第1四半期に計上した取引先の業績悪化による貸倒引当金繰入などを含め、営業損失は12億5400万円(前年同期は1億5900万円の営業利益)となった。

 主力製品である工業炉の売上高は、主要な需要先である情報技術関連業界向けが前年同期並みに推移したことに加え、一部エネルギー関連業界における設備投資需要があり前年同期比増となった。発熱体その他製品の売上高は、中国の電力インフラ向けが堅調に推移したものの、中国ガラス業界の需要が低調に推移したことなどにより前年同期比並となった。

 以上により、工業炉及び関連製品事業部門の売上高は29億5600万円で同18・0%増となり、営業利益は3億8100万円で同13・0%増となった。

 その他事業部門の摩擦材では、建設機械向け、農業機械向け及び商用車向けの販売数量は、主要需要先における需要減により減少した。一方で、二輪車向けの需要は安定し、販売数量は堅調に推移した。結果、摩擦材の売上高は37億6800万円で同9・6%減となった。また、不動産賃貸等その他の売上高は、リチウムイオン二次電池用負極材の販売数量が増加したことにより22億4600万円で同76・0%増となった。以上により、その他事業部門の売上高はの60億1400万円で同10・4%増となり、営業利益は、2億9700万円で同7・3%減となった。

 通期の連結業績予想については7月25日に下方修正を発表しており、売上高は870億円で前期比17・0%減、営業利益が2億円で同95・1%減、経常利益が2億円で同95・4%減、親会社株主に帰属する当期純損失が57億円を見込んでいる。

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