【企業特集】由良製作所 高速機7台体制で業績改善

2016年09月05日

ゴムタイムス社

企業特集 由良製作所

 金型も「イメージ戦略」必要

 ゴム金型の中でも、難易度が高い複雑形状の3次元ゴム金型製造を得意とする由良製作所(東京都葛飾区、池森義明社長)は、顧客からの高品質、短納期に対する要求に高い技術力で応えてきた。

 同社は、14年に高速マシニングセンター「V77L」を2台導入。高速加工機7台体制を確立したことで収益性が向上し、足元の16年8月期も増益基調で推移している。

 内山孝子代表取締役副社長は「2台の高速機が入ったことで、全ての循環が良くなった」と、その効果を語る。それまでは、新型機を増やしつつも、旧型機に頼る面があり、「社員の側に『あの機械がなきゃ困る』という固定観念があった」(同)という。

 しかし、稼働率や生産性の課題から、旧型機3台から「V77L」2台への置換を決定。思い切った投資だったが、その成果はすぐに現れた。由良製作所最大の強みである設計データ一気通貫による高速加工技術で、特に長期休暇中の1台当りの稼働時間が連続100時間を超えるなど、放出した旧型機とは比較にならない稼働率を弾き出している。またその効果により従業員の労働時間も無理なく改善できたという。

14年に導入された高速マシニングセンター「V77L」2台

14年に導入された高速マシニングセンター「V77L」2台

 「創業社長亡き後、ITバブルやリーマンショックという凄まじい環境変化の中で、社員には本当に苦労をかけた。マンパワーで補っていたところを徐々に改善して、2年前に『V77L』を導入してから渋滞気味だった工程も高速機7台の効果は絶大でよりスムーズになった。超高速加工技術を確立するために20年と言うそれまでの長い助走があったから、こういう答えが出たのだと思う」(同)。

 同社では、4月から社屋の改築を順次進めており、時代と共に大型化した設備に耐え得る基礎工事の強化を8月までに終える予定だ。それに先駆け、設計室やトイレなどを全面的に改修した。
 「これまで頑張ってくれた社員へのプレゼントとしてより快適なワーク環境を提供するため、上質な建材を使い、使い勝手も考えたリフォームにした」(同)。

 また、今回の改築には企業イメージの向上という目的もある。内山副社長は「お客さまが弊社に初めて来られた時、『この会社は雰囲気が違う』と、清潔で明るい印象を持ってもらうことが大事。金型屋もイメージ戦略をする時代が来た」と語る。

 さらに、その効果は最優先課題である「人材の確保・育成」にも波及する。「製造業でも清潔感があるという企業カラーを打ち出さないと、人は集まらない」(同)ためだ。

 同社の評判はHPや口コミを通じて広がり、引き合いは増加しているが、現状の設備との兼ね合いで大規模な案件は受けたくても受けられないという。「次世代のことを考えて、大型高速機をあと4台入れたい」(同)として、工場の移転も視野に入れた検討を始めているとのことだ。

 

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