横浜ゴムは8月31日、米国ノースカロライナ州にタイヤ研究開発センターを新設し、9月から研究開発活動を開始すると発表した。
現在、同社は北米向けタイヤの研究開発活動を、米国の複数の州と日本に分散して行っているが、こうした活動を近く新研究開発拠点に集約する。
研究開発活動の集約によって研究開発体制がより強化され、市場に適したスピーディーな新製品投入が加速される。また同社は今回の研究開発活動機能の統合に伴い、北米の研究開発スタッフを現状の約2倍に拡大する計画だ。
新設するタイヤ研究開発センターは、当初消費財タイヤの設計から開始し、その後順次、生産財タイヤの設計、試験・評価、技術サービス、品質保証などへと業務範囲を拡大していく計画である。
同州への進出を決めたのは、ハブ空港があり、質の高い人材確保が容易などの理由から。今後、研究開発活動の拡大に応じて、研究設備に対するさらなる投資を視野に入れている。
ちなみに、現在、同社は北米のタイヤ生産拠点をバージニア州とミシシッピ州、米国子会社本社をカリフォルニア州に置き、乗用車用、トラック・バス用、建設機械・産業車両用タイヤを販売している。
同社は中期経営計画「グランドデザイン100(GD100)」フェーズⅣ(2015―2017年)で、大需要地域である北米を重要市場と位置づけており、従来以上に新車用、補修用タイヤの販売を強化する方針を掲げている。北米での研究開発機能の強化は、こうした経営戦略の一環として行うものだ。
同社では「地産地消」をテーマとして市場に近い地域でのタイヤ研究開発活動を強化している。すでに、06年にドイツに「ニュルブルクリンク・テストセンター」、09年4月にタイに「タイヤテストセンターオブアジア」、12年1月に中国に「優科豪馬中国技術センター」を設立しているが、米国のタイヤ研究開発センターは機能・人員数で海外最大の技術開発拠点となる。