クラレとタイ石油化学の最大手である国営企業「PTTグローバル・ケミカル(PTTGC)」、住友商事は9月13日、都内のホテルで、ブタジエンを原料とする樹脂と熱可塑性エラストマーの合弁事業に関する記者会見を開催した。
この中で、クラレの阿部憲一イソプレンカンパニー長は、合弁事業の背景や経緯、目的・意義などを紹介した。
まず合弁事業の背景として、中期経営計画「GS―STEP」(15~17年度)で、イソプレン関連事業をビニルアセテート事業に続く第2の柱に成長させるため「次なる成長に向けた布石を打つ」ことを掲げており、これが今回の事業に繋がったとした。
次に、今回の合弁事業の対象となるブタジエン原料の高耐熱性ポリアミドPA9Tと水添スチレン系熱可塑性エラストマーHSBC、クラレ単独で行うイソブチレン原料のMPD(メチルペンタンジオール)の3製品は現在、日本と米国で生産しているものの、2020年ごろに生産能力の増強が必要となる見通しであると説明。
そこで、生産能力増強の方法や場所などを調査・検討・折衝した結果、ブタジエン系は3社共同で、イソブチレン系についてはクラレ単独で事業化を行うための詳細検討を開始することで合意し、同日、合意書を締結したと述べた。
また同事業のクラレの目的として、BCP(事業継続計画)の観点からの海外新生産拠点の確立、1拠点での複数製品生産による工場の効率運営、競争力のある原料・ユーティリティの安定調達による安定生産の3点を示した。
3社合弁の意義については、クラレの製造技術・販売マーケティング力、PTTGCの競争力ある原料・ユーティリティとタイでのリーディングカンパニーとしての総合力、住友商事のグローバル・マーケティングチャネルという、各社の強みの融合によるシナジー効果を挙げた。
さらに、PTTGCはC4の有効利用を目指しており、クラレのC4誘導品事業とは補完関係にあることから「まさに目的が一致している」と述べた。
なお、クラレにとってC4石油化学系製品での海外合弁事業の検討と、タイでの生産は始めて。事業規模は数百億円になる見込みだ。