三菱樹脂㈱(吉田宏社長)は、長浜工場で所有する硬質塩化ビニル板製造用プレス機「3×6―1プレス機」が日本の科学技術の発展を示す貴重な科学技術史資料として国立科学博物館の重要科学技術史資料「未来技術遺産」に登録されたことを明らかにした。
「未来技術遺産」は08年に国立科学博物館が日本の科学技術発展を示す貴重な資料の保存と活用を図り、科学技術の急速な発展、技術革新や産業構造の変化の中で、その意義や存在が失われていくことを防ぐとともに、科学技術を培ってきた先人たちの経験を次世代に継承していくことを目的に制定した登録制度。
同社が長浜工場で所有している硬質塩化ビニル板製造用プレス機「3×6―1プレス機は、3尺×6尺(900㍉×1800㍉)のサイズに国内で初めて対応した硬質塩化ビニル板の機械。従来の硬質塩化ビニル板は下敷きなどに使われていたセルロイド代替の雑貨用途が主体であったため、半分程度のサイズしか需要がなく、かつそれ以上大きなサイズの板を作る技術がなかった。しかし、三菱樹脂が工業用途への市場開拓に努めた結果、塩酸のタンクや電解槽の内張り向けなどの用途が拡大した。従来の生産機では生産能力や品質、サイズとも不十分となり、そこで「3×6―1プレス機」導入による大容量化と、100種類以上の試作により、様々な板の標準サイズに対応できる本格的な工業用途向けの硬質塩化ビニル板生産技術を確立した。
今回、当時の様子を理解できる貴重性が評価され「未来技術遺産」に登録されることとなった。
同社は今後も機能材料メーカーとして、独自技術を最大限に活かして、社会の発展に貢献できる商品開発に取り組んでいく。