横浜ゴムの16年度上半期(1~6月期)のホース配管事業を振り返ると、国内では主要需要先の建設機械で厳しい環境が続いていることから、建機用高圧ホースの需要も少なからず影響があった。
海外では、北米でパワーステアリング用ホースが電動化の影響を受けていることや、16年から17年にかけて自動車市場はモデルチェンジの端境期にあり、「自動車用ホースが復調するのは17年下半期からではないか」(千田雅也ホース配管事業部事業部長)と見ている。
足元の動向を見ると、土木工事でスポット案件を受注したことや、建機メーカーが在庫調整を終え生産も上向きつつあることから、高圧ホー
スを生産する茨城工場の稼働率も向上した。
今後の見通しについて、不透明感は否めないことから、引き続きスポット案件の受注に注力していく計画だ。
今期の営業戦略では、海外では継続してベースとなる既存市場での拡大を重点的に取り組んでいくほか、自動車用配管ビジネスにも注力していく。また、製品の品揃えを増やしていくことで補修市場での拡販に繋げる。さらに国内では、需要の深掘りをするために新しい分野への展開を進めていくとし、高圧水素ガス用ホースや樹脂ホースにも期待しているという。
このうち、高圧水素ガス用ホースに関しては、より高圧に対応した製品開発を積極的に進めており、16年8月からは岩谷瓦斯と共同開発した「ibarHG82」の販売を開始した。
同製品は82MPaでの水素充填に対応するほか、軽量で柔軟性にも優れており、運搬や充てん作業がしやすいのが特長。高圧用水素ホースについては、市場ニーズをみながら、水素充填だけでなくさまざまな用途に展開を図っていく方針だ。
また、昨年5月に開業したメキシコの自動車用ホースアッセンブリ工場は、順調に立ち上がっており、17年後半から18年にその効果が表れてくるという。
今後の事業課題としては、3つの課題を掲げる。まずは、16年下期から17年にかけて行う、金属継ぎ手の生産とアッセンブリを、長野豊丘工場に統合して生産の再編成を図ること。2つ目は自動車用配管の分野で更なる販路拡大を目指していくこと。最後の3つ目は、中国市場への対応である。同社は、「生産を含めた中でのフォーメーションをいかに構築していくかがカギを握る」(同)とし、これら課題に対応していく。
今後の市場については、電動化でパワーステアリング用ホース需要は減少傾向になると見込んでいるが、その需要は他のホースなどでカバーするほか、新たな製品用途で展開していく計画。そのためにも、顧客と連携を密に取りながら新たな製品展開を考えていきたいとしている。
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