真のグローバルプレイヤーに
「VISION 2020」実現目指す 3つの成長エンジン原動力に
住友ゴム工業(池田育嗣社長)は、2020年を目標年度に目指すべき企業の姿を「高収益・高成長の真のグローバルプレイヤーになる」「ステークホルダーにとっての価値向上と、全社員の幸せを追求する」企業として提示した長期ビジョン「VISION 2020」を策定している。その目標を達成するため「新市場への挑戦」「飽くなき技術革新」「新分野の創出」の3つの成長エンジンを原動力に全社一丸となって取り組んでいく。
■欧米事業を拡大
同社は長期ビジョンの実現に向け、グループを挙げて事業の成長と収益力の向上を目指して様々な対策に取り組んでいる。
タイヤ事業については昨年、グッドイヤー社とのアライアンス契約を解消。
これまで同社が欧州・北米で事業展開するには、様々な制約があったが今後は生産・研究・開発などの拠点を独自に保有することが可能になるため、従来よりも自由度が増した新体制により、大きな飛躍を図ることが期待できる。
また商品面でも、今後はファルケンブランドを効果的に活用することで、多様化するユーザーのニーズにきめ細かく対応し、グローバル展開を一層加速させていく。
プロモーション展開については、ファルケンの持つ躍動感や、若々しくエネルギッシュなイメージを訴求するため、日本では「レッドブルエアレース・千葉」における大会協賛およびパイロットの室屋義秀氏とのスポンサー契約を締結した。
欧州ではドイツのプロサッカーリーグ・ブンデスリーガ1部の「FCインゴルシュタット04」、米国ではメジャーリーグベースボールのスポンサー契約などを行い、ファルケンブランドのグローバルプロモーション活動を本格的にスタートさせている。
タイヤの新商品としては、乗用車用では独自技術である特殊吸音スポンジ「サイレントコア」を搭載した快適で長持ちする低燃費タイヤ「ル・マン4」の転がり抵抗性能を「A」から「AA」に高め、低燃費性能をさらに向上させた。
また、トラック・バス用タイヤでは高純度天然ゴム「UPNR」を同カテゴリで初めて採用し、低燃費性能を高めた低燃費オールシーズンタイヤ、ダンロップ「エナセーブ SP688 Ace」を3月から順次発売している。
さらに8月からダンロップ史上No.1の「氷上性能」と「長持ち」(「効きの長持ち」+「ライフの長持ち」)を実現した乗用車用スタッドレスタイヤ「ウィンターマックス02」を発売している。
■環境への取り組み
同社では持続可能な社会の実現への貢献を目指し、地球温暖化問題や化石燃料枯渇問題などの環境問題に対応するため、様々な取組みを推進している。
その1つが「エナセーブ100」に代表される環境負荷低減に貢献するタイヤの開発だ。
同社では「タイヤが地球環境に貢献できること」を考え、原材料・低燃費・省資源という3つの方向性で、石油外天然資源タイヤ・低燃費タイヤ・ランフラットタイヤの商品開発に取り組んでいる。
このような高性能タイヤの開発に不可欠なのが、材料開発技術である。
同社では従来の「4Dナノ・デザイン」をさらに進化させた「アドバンスド4Dナノ・デザイン」を、スーパーコンピュータ「京」をはじめとする国内最先端実験施設と連携して完成させた。
これにより、今後、相反性能である低燃費性能・グリップ性能・耐摩耗性能を大幅に向上したタイヤ開発が可能となる。
省資源の方向性では、スペアタイヤを不要とする「スペアレス」の考え方のもと、新たなイノベーション技術として、空気を使わないエアレスタイヤテクノロジー「ジャイロブレイド」と、釘踏みなどによる穴をシーラント剤で埋めることで、パンクによるアクシデントを低減するシーラントタイヤテクノロジー「コアシール」の開発を進めている。
さらに、ランフラットタイヤでは次世代新工法「NEO―T01」により、高い快適性能と環境性能、安全性を実現した次世代ランフラットタイヤの販売を開始した。
環境問題に関する2つ目の取り組みは、天然資源の活用促進である。同社では従来のパラゴムノキ由来の天然ゴムに代わる、新たな天然ゴム資源としてロシアタンポポに着目。米ベンチャー企業のカルテヴァット社との共同研究を昨年8月から開始した。
今後研究を進め、天然資源の活用促進や原産地域の多様化により、環境負荷の少ない高性能タイヤをより多くのユーザーに安定的に供給することを目指す。
3つ目は天然資源の高機能化。エナセーブ100の