15年は過去2番目の水準
海外市場見込み生産を拡大
15年の合成ゴム生産はプラスとなったが、1~3月は前年実績割れとなった。合成ゴムを取り巻く需要環境は大きく変化しており、主力需要先であるタイヤ生産を始め、各種工業用ゴム製品の需要の減少、供給過剰や販売競争激化に伴う海外市況の軟化に加え、年初からの為替円高により、合成ゴム事業のさらなる収益圧迫が懸念されている。テロや英国のEU離脱問題などで不透明さが増している世界経済の回復が待たれるところだ。
■ピークは13年の167万t
国策により、それまで輸入されていた合成ゴムを国産化するようになったのが1959年。本格的に生産が始まった60年の生産量は2万t弱だった。それから56年が経過した2015年の国内生産量は、166万8282tまで拡大した。ちなみに、過去最高の生産量は13年の167万3293tである。
国内需要は減っているにも関わらず生産が増えているのは、海外市場を見込んでいたためだ。しかし、中国経済の減速や東南アジアの自動車販売の不振によりアジア市場も需要が減ったことから、各社は販売に苦慮している。
このため、15年の合成ゴム輸出量は前年度に比べて2・3%減の79万3915t、輸出金額は同4・8%減の2583億1200万円となり、どちらも前年を下回った。
生産に関して、これまでも日本メーカーは海外で生産を行ってきたが、この2年ほどで一気に拡大したのが、低燃費タイヤ用S―SBRの海外生産である。
JSRはタイ、日本ゼオンと住友化学、旭化成はシンガポールに工場を建設し、海外向け製品の生産を行うようになっている。
輸入に関しては過去10年間、増減を繰り返しており、15年は前年比1・4%減の16万6060tだった。
10年間のピークは08年の21万1260tで、それに比べると15年は21・4%のマイナスとなった。
合成ゴム輸入が増減を繰り返すのは、天然ゴムに比べ景気に影響されやすいためで、リーマンショック後の09年は、前年比34・5%減の13万8370tまで落ち込んでいる。
合成ゴム各社の現況
海外中心に生産能力増強
国内の合成ゴム需要に大きな期待はできないとしても、海外市場では