「2016年国際ゴム技術会議(IRC2016北九州)」が10月24~28日、福岡県北九市の北九州国際会議場と西日本総合展示場新館で開催された。日本で開かれるのは11年ぶり5度目。20ヵ国以上のゴム技術者・研究者が発表したほか、併催の「ゴム・エラストマー技術展」には、海外を含む111の企業・団体が出展した。
25日に開催されたオープニングセレモニーで、あいさつに立ったIRC組織委員会名誉委員長の南雲忠信日本ゴム工業会会長は、開催地である北九州市について、貿易都市であるとともに、これまで日本の工業化を先導し、ゴム産業の発展にも欠かせない重要な役割を果たしている地域と述べた。またIRC2016では、基礎科学に基づいた革新的な技術や製品などが発表されることから「多くの技術者と情報交換し、意見交換をしてほしい」と抱負を述べた。
続いて、五十野善信IRC組織委員長が、今回の発表件数は300件を上回り、前回開催した横浜の1・5倍の規模となったほか、技術展示会の出展企業・団体も同様に増加していると発表。特に発表件数の約半分が海外で、海外参加者が43%を占めたことについて「これは、日本の市場価値やテクノロジーなどが、世界から注目されている表れの一つ」と述べた。
また、今回のテーマ「基礎を極めてイノベーション」は、改めて基礎研究の重要性を強調したもので、今回から新設された「IRCOベスト・スチューデント・ペイパー・アワード」により優れた論文を発表した学生を表彰するなど、若手育成にも力を入れていると述べた。さらに、ゴム・エラストマー技術展は出展者数が前回の横浜開催の1・6倍の規模となったと説明した。
その後、中瀬古広三郎日本ゴム協会会長のあいさつでは、最近、アジアの新興国でもゴム産業が発展してきたとして、日本のゴムの研究はこのIRCを機会に、よりグローバルに活動し、交流をしていく必要があると指摘した。
オープニングセレモニーの終了後、基調講演が開催された。
最初の基調講演は南雲会長が行い、日本ゴム工業会の目的と活動を紹介したほか、日本と世界を比較したゴム産業の現状を解説。また、日本のゴム産業が直面する課題を示し、将来に向けた技術革新の必要性を述べ、「日本ゴム工業会はこのIRCを機に、革新的な技術に対して役立てるようにしていきたい」と述べた。
併催されたゴム・エラストマー技術展では、今回初の試みとなった展示会場に設置した特設会場で出展社セミナーも開催。会期中には、各企業による23件の技術・製品を紹介したほか、「環境とものづくり」のテーマで企画セミナーも行われた。(同展示会の詳細については次号掲載)。
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