信越化学 シリコーン事業拡大 国内に工場新設へ

2016年10月28日

ゴムタイムス社

 信越化学工業は10月27日、主力事業の一つであるシリコーン事業で国内に工場を新設するとともに、シリコーンゴムの成形・加工のテクニカルサービスを行うテクニカルセンターを拡張し、事業の拡大を図ると発表した。

 新たに建設するのは、少量多品種生産に対応した機能性シランの工場。投資金額は23億円で、再来年3月までに直江津工場(新潟県)の敷地内に建設する。

 同社には、自動車や電気・電子材料などに使用する樹脂改質用シランや、接着力のさらなる強化を実現するシランカップリング剤など、高特性・高機能な製品群が多数あり、新工場はこれらの製品の需要増に対応する。

 併せて、2001年に開設したシリコーンゴムの成形・加工のテクニカルセンター(埼玉県東松山市)を拡張し、テクニカルサービスを充実させる。

 シリコーンゴムを材料とする成形は、LIMS(液状シリコーンゴム射出成形システム)が用いられる機会が増えており、今後も普及が見込まれている。その用途も、電気・電子、自動車、事務機、ヘルスケアなど多岐にわたり、さらに広がりを見せている。

 これを受け、テクニカルセンターでは成形機を増やすなど、顧客への説明や実演を充実させ、拡販に結びつけていく。新たなテクニカルセンターは、来年7月までに完成する予定。

 同社はシリコーン事業で、昨年からタイと日本国内合わせて400億円を投じ生産能力を増強しており、タイでは50億円で新たに事業用地を取得した。今回の投資により、シリコーン事業全体でのこの2年間の累計投資額は500億円近くにも達する。

 また、群馬県にあるシリコーン電子材料技術研究所の新研究棟が今春から稼働を開始し、米国ではニュージャージー州にテクニカルセンターを開設するなど、信越化学は国内と海外、製造と研究の両面で事業の拡大に向けた取り組みを進めている。

 現在、シリコーン市場では、欧米企業が世界シェアの首位から3位までを占める。信越化学は研究・製造・営業が一体となり、これらの取り組みを進めることでシリコーン事業をさらに拡大し、売り上げ規模で先行する欧米企業との差を一挙に縮めていく方針だ。

 シリコーンは電気・電子・自動車・建築・化粧品トイレタリー製品など、幅広い用途で使われている、高い機能を持つ樹脂。同社は顧客の多岐にわたる要望に応える製品を開発し供給することで、シリコーン事業を拡大させてきた。

 その結果、国内では50%を超えるシェアを持つ事業に成長した。また、海外でもアジア・米国・欧州に生産拠点を設け、事業の拡大に取り組んでいる。

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