横浜ゴム HPCI利用研究課題の優秀成果賞を受賞

2016年11月08日

ゴムタイムス社

 横浜ゴムは11月8日、宇宙科学研究所との共同研究である「次世代低騒音タイヤ開発に向けた高精度流体解析とデータマイニング」が10月21日、HPCI(革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ)一般利用枠研究課題の優秀成果賞を受賞したと発表した。

  HPCIは文部科学省が構築を進めている、「京」と全国の大学や研究機関に設置されたスーパーコンピューターを高速ネットワークで結び、革新的な共用計算環境を実現する基盤システム。

 HPCIシステムを運用する高度情報科学技術研究機構では、1年間に同システムを利用して実施された一般利用枠研究課題の中から、特に成果が認められた課題を優秀成果賞として表彰している。昨年度は全134課題の中から9課題が優秀成果賞に選ばれた。

  今回、横浜ゴムが受賞した研究は、一昨年に発表した流体音響シミュレーション技術を発展させたもので、東北大学サイバーサイエンスセンターのスーパーコンピュータ(SX―ACE)を用いた大規模計算によって、タイヤ表面の溝の深さや広さなど、形状の違いが音響波(騒音)に及ぼす影響を明らかにした。

 さらに研究を進めることで、音響波の低いパターン設計が可能となり、次世代低騒音タイヤの開発が期待できる。今回の受賞では、HPCIの大規模計算システムを使用するにふさわしい課題であったこと、系統的で信頼性の高い解析がなされており、直接的にタイヤの設計開発に役立つことが評価された。

 流体音響シミュレーション技術は、横浜ゴムと宇宙科学研究所の共同研究により、世界で初めて限りなく実スケールに近いレベルで、路面上を回転するタイヤ周りの空気の渦乱れ構造(乱流)と、そこから発生する音響波を捉えることに成功したシミュレーション技術。通過騒音の低減や、空力性能の向上に貢献する技術革新が期待できるため、さらなる研究を進めている。  

 受賞式は東京都港区のコクヨホールで開催された「第3回『京』を中核とするHPCIシステム利用研究課題・成果報告会」で行われた。

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