クラレの1~9月期 減収も各事業堅調で増益

2016年11月09日

ゴムタイムス社

 クラレの2016年12月期第3四半期連結決算は、売上高が前年同期比7・9%減の3607億8700万円、営業利益は同6・6%増の525億6200万円、経常利益は同6・2%増の516億8200万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同7・8%増の343億5200万円となり、減収増益となった。

 セグメント別では、ビニルアセテートの売上高は1905億9900万円、同8・3%減、営業利益は450億1200万円、同8・8%増となった。ポバール樹脂は米国新プラントの運転当初のトラブルもあり、償却費等を吸収できなかった。光学用ポバールフィルムは液晶パネルの生産調整が一段落し、販売量に回復の兆しが見えた。水溶性ポバールフィルムは堅調に推移した。PVBフィルムは引き続き好調に推移した。EVOH樹脂「エバール」は、自動車ガソリンタンク用途、食品包装用途ともに好調が継続した。

 イソプレンの売上高は384億1900万円、同7・7%減、営業利益は55億2000万円、同0・7%増となった。イソプレン関連では、ファインケミカル、熱可塑性エラストマー「セプトン」及び液状ゴムは堅調に推移した。耐熱性ポリアミド樹脂「ジェネスタ」は、自動車用途が拡大を続け、コネクタ用途は回復した。一方で、LED反射板用途は苦戦が続いている。

 機能材料の売上高は385億9500万円、同8・6%減、営業利益は34億7100万円、同17・6%減となった。メタクリルは、市況の悪化の影響を受けていたモノマー及び一部樹脂用途の需要に回復の兆しが見えた。メディカルは、歯科材料が新製品の拡充に加え、販売面で事業統合によるシナジー効果が増大し好調に推移した。人工皮革「クラリーノ」は、為替の円高影響が顕在化した。

 繊維セグメントは、ビニロンの高付加価値用途の販売増に加えて、生活資材もクラフレックスを中心に順調に推移した結果、売上高は354億7400万円、同3・4%増、営業利益は46億7700万円、同56・1%増となった。

 トレーディングでは、化学品関連事業は堅調に推移したものの、繊維関連事業は低調な国内需要の影響を受けた。この結果、売上高は872億5700万円、同1・7%減、営業利益は26億3400万円、同4・4%減となった。

 その他事業は、第1四半期連結会計期間にエネルギー材料事業が加わったことにより開発費が増加した結果、売上高は465億6900万円、同10・0%減、営業利益は13億5600万円、同21・7%減となった。

 通期の業績予想については8月に見直した数値に変更はなく、売上高は5000億円で前期比4・2%減、営業利益は700億円で同5・9%増、経常利益は680億円で同5・4%増、親会社株主に帰属する当期純利益は400億円で同11・9%増を見込んでいる。

関連キーワード:

技術セミナーのご案内

ゴムタイムス主催セミナー