帝人グループでパラ系アラミド繊維「トワロン」を生産・販売するオランダのテイジン・アラミドB・Vは「トワロン」シリーズの新製品として、元来黄色であるアラミド繊維を完全に黒く染色した「トワロンブラック」の生産・販売を開始した。
「トワロン」は、軽量で、高強度、高弾性、耐熱性、耐薬品性、耐衝撃性を備えることによりブレーキパッドやゴム補強材、タイヤコードなどの自動車用途をはじめ、光ファイバーケーブルの補強材、防護衣料、産業用のロープやケーブル、コンポジット材料などに幅広く使用されている。
アラミド繊維の色は元来黄色で、その緻密な分子構造と高い結晶性、および優れた耐薬品性により染料が浸透しにくいため、染色が困難とされてきたが、新製品は一般的な繊維の染色方法である後染めではなく、原液着色により、「トワロン」の繊維の芯まで完全に黒色に染めることに成功したもの。
新製品は、従来の「トワロン」と比べて遜色のない特性を備えており、黒く染色することで、意匠性が重視され、顧客から黒色への要求が高かったヨットの帆やカヌーの船体補強をはじめ、テニスラケットやアイスホッケーのスティック、競技用ヘルメットなどのスポーツ用途、さらに携帯電話やPCの筐体の補強材などに幅広く採用されることが見込まれる。また、炭素繊維など他の黒色素材と組み合わせ、複合材料としてもデザイン性を損なうことなく使用できる。
新製品は、「トワロン」の紡糸拠点であるオランダのエメン工場で製造し、「トワロン」の新たな製品バリエーションとして販売を開始していく。
「軽量」「省エネ」「安全」「メンテナンスフリー」という市場ニーズを背景に、パラ系アラミド繊維は今後も年間7~9%の成長が見込まれているという。同社グループは、今後もアラミド繊維事業における革新的な製品・用途開発を積極的に進め、さらなる事業拡大を図っていく。