技術・開発者インタビュー ホッティーポリマー 池澤祐樹さん、國田裕介さん

2019年11月06日

ゴムタイムス社

技術・開発者インタビュー ホッティーポリマー

ホッティーポリマーだけにしかできない製品を作りたい

 ゴムと樹脂で押出し製品の特性を活かした高機能部品を提案するホッティーポリマー(東京都墨田区、堀田秀敏社長)。技術者として活躍するゴム担当の池澤祐樹氏と、樹脂担当の國田裕介氏に、製品の技術開発までの流れや取組みなどを尋ねた。

働きやすい環境づくりを目指す

──技術部の業務内容について教えてください。
池澤 技術部は、技術課と試作課に分かれております。技術課は14人、試作課は3人で総勢17人が在籍しています。
 もともとは堀田ゴム工業という社名で、設立当初はゴム屋でした。その当時、主に口金を作る担当が試作課で、開発が技術課でした。それが、今後は樹脂分野が伸びてくるだろうという社長の判断により、約10年前に樹脂も取り扱うようになりました。それ以来、技術課の中で、ゴム担当のほか、樹脂の口金を担当する人、技術開発を担当する人に分かれています。技術課はゴムの素材開発をはじめ、樹脂の口金作り、製品設計などを行っております。試作課は、基本的に金属加工やゴムの口金を作っています。今後は、会社全体として女性スタッフを増やして、働きやすい職場環境づくりを目指していきます。

──どのような製品開発を行っていますか。
池澤 開発テーマは、現在ではゴムと比べて樹脂の方が多いですね。樹脂については、各メーカーさんが新素材を発表される機会が多く、また、開発に着手しやすいため、テーマとしては樹脂が多くなる傾向です。割合としては樹脂が7割、ゴムが3割になっています。
まずは、お客様のところに伺って打ち合わせを行い、お客様の要望に沿った製品を開発していきます。また社内で会議をして、社内開発にも取り組んでいます。
國田 エラストマーや樹脂の開発を中心に行っています。最近では、環境負荷物質が重要視されているため、その調査を行っています。現在はエラストマーがメインテーマです。

──製品開発する上で、どのよう会議を行っていますか。
國田 会議は技術部会と開発会議の2種類があります。技術部会は月1回開いています。そこでは、進捗状況を確認し、各個人でテーマを二つ~三つを持ち寄り、日常業務を含め報告をしています。
 また、開発会議では3ヵ月に一度に開催し、個人がそれぞれのアイディアを出し合い、新しいテーマに取り入れるかどうかを決めています。また、お客様の意見を一番聞くのは営業担当者ですので、営業からの提案もあります。

ゴムの経験を樹脂に応用

──最近の技術開発を教えてください。
池澤 3Dプリンターに使用するHPフィラメントです。HPフィラメントは開発会議で誕生した製品です。3Dプリンターの材料は、PLA樹脂とABS樹脂がほとんどでしたが、フィラメントの柔らかいものを出したら面白いのでないか、それが製品開発の始まりでした。
 まずは、今までゴムで培ってきた配合技術と樹脂で培った加工技術を活かして素材から開発をしようと考えました。当社はゴムを扱ってきましたので、その経験が樹脂にも応用でき、樹脂に横展開ができました。HPフィラメントは独自製品として3Dプリンターに特化させました。
 そのほか、1、2年前に製品化し、最近ではお客様から高い評価を頂いているシリコーントリムがあります。シリコーントリムはアイディアから製品化まで約3年かかりました。

──最近の技術開発テーマは。
池澤 現在、ゴムでは新しい素材を組み合わせて、より高機能な製品を作ったり、従来のスポンジ製品をより高機能にしたりするなどのテーマがあります。
國田 樹脂はリサイクル技術に特化した製品開発がテーマです。また、ゴムの技術を活かしたエラストマーの発泡などを開発テーマとして取り扱っています。

ゴムの安定化に向け、真摯な眼差しで日々試験機と向き合う池澤リーダー

──生産現場から見えてきた課題は。
池澤 ゴムをいかに安定して生産できるか、これは永遠のテーマです。製品ができても、それを継続的に製造できないと意味がないと考えております。ゴムの安定化については、常日頃から取り組んでいます。またゴムでは、目新しいものをどう作っていくかを模索しております。

──異素材の接着・接合について。
池澤 新しいステンレスタイプのシリコーントリムを作る上で、接着・接合で大変苦労しました。フレキシブル性に関係があるのですが、ゴムの射出はテンションをかけるため、その押出し工程で芯金が切れてしまっては製造できません。しかし、製造が終わった後にくっついたものをバラバラにしてフレキシブルにする工程があるため、その加工のバランスを取るのが難しかったですね。素材選びから加工方法などひと通り行い、一から作り上げました。

「樹脂も安定性が重要。納得いくまで試験を行う必要がある」と語る國田リーダー

──独自製品の開発のために気をつけていることは。
國田 ゴムもそうですが、樹脂も安定性が重要です。樹脂も最初がブレると、すべてブレてしまいます。ロットのブレの安定性には気を配っています。物性などを何回も試験し、納得いくまで行っています。生産現場で、いかに簡易的で安定して出来るかを心がけています。

──押出成形の熱制御について。
池澤 材料によっては、ある程度温度領域が決まっています。そこからはうまくハイブリットしながら対応しております。ゴムは加硫工程があるため、分散や加硫のタイミングに気を使っています。加硫は便利ですが難しいです。ゴムは生き物のように扱いが難しいので、これが本当に正しいかどうかは常に検討しています。

ユニークな製品を作りたい

──今後の製品開発の取り組みは。
池澤 一つは環境対応です。ゴムの長所を活かしながら配合技術を用いて、いかにユニークな製品を作っていくかを考えています。また、海外にも目を向けて新しい製品や時代を先取るような製品を作っていきたいです。
國田 樹脂も一緒です。時代を先取る製品をいかに作るかが重要ですね。たとえば、大企業さんと製品開発を同時にスタートするとマンパワーが違うので、中小企業として、いかに先に始められるかがカギになってきます。また、小回りが利き、ゴムと樹脂の両方の技術が当社にはあります。その強みを活かして独自製品の開発をしていきたいです。
 将来的には独自製品を、より増やしていきたいです。また、ホッティーポリマーでしかできないような製品や、ホッティーポリマーに相談すれば問題が解決すると、お客様に思ってもらえるような製品を目指していきます。

*この記事はゴム・プラスチックの技術専門季刊誌「ポリマーTECH」に掲載されました。


 

池澤祐樹
技術部技術課エキスパートリーダー。入社10年目。前職は樹脂や金属加工を行っていた。その経験をゴムの技術開発に活かしている。

國田裕介
技術部技術課エキスパートリーダー。入社15年目。入社当時はゴムを担当。その後、ゴムで培ってきた配合などの経験を活用し、樹脂の技術開発を行っている。

 


 

会社名 ホッティーポリマー㈱
代表者名 堀田秀敏
所在地 東京本社 〒131-0032
東京都墨田区東向島4-43-8
TEL 03-3614-4100(代表)
所在地 久喜第一工場 〒346-0035
埼玉県久喜市清久工業団地1-8
TEL 0480-21-5645(代表)